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「抜け感」について、ゆるく考えてみました。

デザイン
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atsumo
atsumo
こんにちは、atsumoです。

今回のテーマは 「抜け感」。

ファッション誌やインテリアのレビュー、アートの講評でも頻繁に使われる言葉ですが、

いざ「抜け感って何?」と聞かれると、案外説明しづらいものですよね。

今日は、この“抜け感”の正体を、できるだけ視覚的・構造的に整理し、

デザインにどう応用するかまで解説してみたいと思います。

よろしくお願いします。

 

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「抜け感」とは?

まず語感からして「空気が抜けている感じ」や「間(ま)がある感じ」が連想されます。

辞書的には、

「過度な重さや圧迫感がなく、ほどよく余白や軽さを感じられる状態」

といったニュアンス。

ただ、この言葉の肝は“軽さ”だけではありません。

ポイントは、

本来「重い」「密度が高い」「頑張っている」ものに、あえて余白や遊びを与えたときに生まれる心地よさ

にあります。

つまり、ただ“軽い”だけでは抜け感にはならない。

濃度の高いものの中に、ふっと風が通るような瞬間。

それこそが抜け感の本質です。

「抜け感」が与える印象

抜け感があると、デザインはどのように見えるのでしょう?

ここで印象を言語化してみます。

①余裕

ぎゅっと詰まりすぎていない状態は、見る人に「余裕」「落ち着き」を感じさせます。

人間の心理は単純で、

余白 → 整理 → 安心

という流れで解釈されるためです。

②洗練

詰め込まずに「削る」判断ができるデザインには、洗練された印象が生まれます。

単に情報が少ないのではなく、必要最低限だけが残されているという胸のすく感じ。

③軽やかさ

これは物理的な軽さではなく“視覚的な軽さ”。

重厚感やかたまり感と対になる性質ですね。

ただ、対極ではあるけれど「軽い=安っぽい」にならないのが抜け感の不思議なところ。

④親しみ

意外かもしれませんが、抜け感には“親しみ”も含まれます。

人もプロダクトも「ちゃんとしているのに、どこかリラックスしている」状態を見ると、親近感が湧きます。

たとえば…

・カッチリしすぎないジャケット

・無機質な家具に添えられた一筋の木材

・機械的なUIに入った手描き風アイコン

こうした「完璧すぎない」ほうが魅力的な時ってありますよね。

「抜け感」を生み出す方法

それではここから、実際のデザインで“抜け感”を再現する方法を紹介します。

重厚感やかたまり感と違い、抜け感は足すより引くアプローチが多めです。

1. “余白”を意識的に使う

見た目の抜け感の8割はここ。

・余白

・呼吸

・スペース

・間(ま)

どれも似ていますが、要するに「詰めすぎない勇気」。

余白は、ただの“空き”ではありません。

視線が通過するための道です。

道幅を広げることで、風通しの良さが生まれます。

2. 線を細く、または減らす

線には“存在感”があります。

太い線が多ければ密度が上がり、

細い線は軽さを与えます。

・文字のウェイト

・アイコンのライン

・パーツの輪郭

いずれも「細くする」「消す」「途切れさせる」ことで抜け感が出ます。

3. 透け感・透明度・反射を使う

透明な素材には抜け感が宿りやすいです。

・ガラス

・アクリル

・水

・薄布

・半透明のUI(ブラー)

これは光が通ることで、物体の密度を“下げて見せる”効果があるから。

4. 高さ(レイヤー)をずらす

オブジェクトを少し浮かせたり、重なりに段差(shadowやblur)をつけることで、視覚的な「空間」を作れます。

空間とはつまり「空気がある」という表現。

空気がある → 抜けている と連想されます。

5. 色を明るくする・濁りを抜く

色にも抜け感があります。

・淡い色

・透明感のある色

・くすみを抑えた色

・彩度は高くないが澄んだ色

逆に、黒に寄せすぎたり濁りのある色ばかりだと重くなります。

6. “抜く”ディテールを入れる

ここが一番デザイン的。

たとえば家具なら

・スリット

・脚を細くする

・浮かせる

グラフィックなら

・罫線を破る

・文字を抜き加工にする

・写真をトリミングで大胆にカットする

「無いこと」がデザインになると、一気に空気が通ります。

「抜け感」の本質

最後に、抜け感を一言で定義してみます。

抜け感

「密度の高いものの中に、意図された“遊び”や“空気”が存在する状態」

ただ軽いだけでも、ただスカスカなだけでも抜け感にはならず、

濃度と余白の“関係性”が美しく成立しているかどうか

が鍵になります。

デザインにおける抜け感とは、

「がんばりすぎない美しさ」

とも言えるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

重厚感やかたまり感よりも、さらに抽象的な概念ですが、

“抜け感”が理解できると、デザインのコントロール能力が一段上がります。

 

・空気の通り道を作る

・密度を適切にコントロールする

・引く勇気を持つ

 

これだけでも、あなたの作品は大きく変わるはずです。

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それではまたお会いしましょう。

atsumo

理工系の学部を卒業し、メーカーの生産技術職を経てデザインの道に進み、工業デザインとUI・UXデザインを経験しました。僕と同じような人がデザイナーやクリエイターを目指したり制作活動をすることの力になりたいと思っています。

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