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仕上げ(フィニッシュ)」の種類と特徴をわかりやすく解説|塗装・研磨・コーティング・テクスチャ加工まで

質感
この記事は約4分で読めます。

こんにちは、アツシです。

ものづくりの世界では、完成直前に行われる処理のことを「仕上げ(finish)」と呼びます。



でも実際は「最後にちょっと整えるだけ」ではなく、仕上げは“作品の印象を決める決定打” と言ってもいいほど重要な工程です。

今回は、仕上げの種類や効果について、デザインの目線も交えながら丁寧にまとめてみました。

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仕上げとは?

仕上げとは、物の表面に施される処理全般 のことを指します。

ここには見た目だけでなく、手触り、耐久性、汚れやすさ、経年変化の仕方までが含まれています。

・毎日触れるもの

・手に持つもの

・光が当たる部分

・傷つきやすい部分

こういった“直接目や手が触れるところ”に対して、最適な状態を整えてあげるのが仕上げの役割です。

仕上げは単に「綺麗にする」のではなく、

用途に合わせて性能・質感・美しさを整える“デザインの最終回答”とも言えます。

仕上げ方法の種類

仕上げには本当にたくさんの種類がありますが、代表的なものを目的ごとに整理してまとめてみます。

① 表面に層を乗せる:塗装・コーティング系

塗装は最も身近な仕上げのひとつです。

色を加えるだけでなく、

・紫外線から守る

・さびを防ぐ

・表面を固くする

・汚れを落としやすくする

といった“保護膜”の役割も果たします。

例としては

・ウレタン塗装

・ラッカー塗装

・パウダーコーティング

・ガラスコーティング

などがあり、それぞれ光沢・耐久性・厚さが異なります。

「見た目の美しさ」と「耐久性」を同時に満たせるところが魅力ですね。

② 表面そのものを変える:研磨・仕上げ加工

研磨は、表面を削って滑らかにしたり、逆に模様をつけたりする方法です。

・鏡のように光を反射させる“鏡面研磨”

・細かな筋模様をつけて落ち着いた印象にする“ヘアライン加工”

・ツヤを抑えて“しっとり感”を出すサンドブラスト

など、印象がガラッと変わります。

金属製品なら、磨き方ひとつで“高級感 → 工業的 → 無骨”まで雰囲気を操れるのが面白いところです。

③ 表面に凹凸をつける:テクスチャ加工

素材の魅力を引き出す方法のひとつが、表面に意図的な凹凸をつけること。

例えば、革の型押し模様(エンボス)やプラスチックの梨地仕上げ、木材の浮造り加工など。

凹凸は、

・手触りの心地よさ

・滑りにくさ

・指紋が目立ちにくくなる機能

などにも効果があります。

触覚に訴える表現ができるので、僕も工業デザインをしていたときは必ず検討していました。

④ 化学的に性質を変える:エッチング・酸化・熱処理

金属の仕上げでは、薬品や電気・熱を使って性質を変える方法もあります。

・アルマイト(アルミの酸化皮膜処理)

・エッチング(酸で表面を溶かして模様をつける)

・焼き入れ(硬度を高める熱処理)

・黒染め処理(光の反射を抑える)

これらは、見た目だけでなく、

硬さ・防錆・耐熱・耐摩耗など、性能そのものに直結する仕上げです。

特にアルミ製品は、アルマイトによって“さらっとした金属らしい手触り”と“美しい発色”を両立します。

MacBookやiPhoneもこの処理ですね。

仕上げがもたらす効果

仕上げは、見た目のためだけにあるわけではありません。

実は「その製品の性格を決める」のも仕上げの役割です。

ここでは、仕上げが与える主な効果をいくつかピックアップします。

① 見た目の印象を決定する

同じ形でも、

・ツヤがあるのか

・マットなのか

・きらきら反射するのか

・しっとり落ち着いているのか

によって、印象はまったく変わります。

仕上げは「質感のデザイン」そのもの。

形状+質感の組み合わせで“高見え/安っぽさ”が決まります。

② 手触りと使用感をコントロールできる

滑りやすいか、持ちやすいか、傷つきやすいか。

そういった使い心地は、実は仕上げの選択によってほぼ決まります。

スマホの背面のマット感や高級家具の手触り、

キッチン用品の洗いやすさ

すべて仕上げの違いです。

③ 経年変化をどう迎えるかを選べる

仕上げによって、「劣化するスピード」ではなく、

“どんなふうに歳をとっていくか” を選ぶことができます。

革であれば光沢が深くな離ますし、

金属なら程よくくすみ、

木も柔らかい色に変わるんです。

経年変化を味として楽しむか、つねに新品のように保つかも、仕上げ次第です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

仕上げって“最後のひと手間”ではなく、

その製品の見た目も手触りも寿命も左右する、とても奥深い世界です。

形を考えるときも、その製品の未来まで想像して、

「どんな仕上げを選ぶべきか?」

を一緒に考えられるようになりたいですね。

僕自身、工業デザインをしていた頃は、形と同じくらい仕上げに頭を悩ませていました。

でも、だからこそ仕上げはとても面白くて、製品の“性格づけ”ができる大事な工程なんだと思います。

今回はこの辺で!

最後まで読んでくださってありがとうございました。

またお会いしましょう。

アツシ

理工系の学部を卒業し、メーカーの生産技術職を経てデザインの道に進み、工業デザインとUI・UXデザインを経験しました。僕と同じような人がデザイナーやクリエイターを目指したり制作活動をすることの力になりたいと思っています。

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