
今回は、ずっと気になっていた「ゆらぎ」についてまとめてみます。
たとえば、
・焚き火の炎
・川のせせらぎ
・ろうそくの明かり
・風で揺れる草木
・子どもの走り方
・猫のしっぽの動き
こうした“一定じゃない”動きって、なぜこんなに心をつかむのでしょう?
僕たちは規則的なものに安心しながら、同時に、ほんのすこしの“不規則”に美しさを感じている気がします。
今回はその理由を、自然・アート・デザインの視点から整理してみました。
ゆらぎとは何か?
ゆらぎとは、一言でいえば、
「規則と不規則のあいだにある、微妙な揺れ」
のことです。
完全にランダムではなく、完全に機械的でもない。
人間のリズムにも、自然界のリズムにも必ず存在しています。
たとえば、
・心拍
・呼吸
・風の強さ
・波の高さ
・木の枝の揺れ方
・歩くリズム
これらはすべて、規則的に見えて、実は均一ではありません。
この“揺れ幅”こそが、僕たちが心地いいと感じる源になっています。
なぜ、ゆらぎは美しく見えるのか?
では次に、なぜゆらぎは僕たちにとって心地よいものなのか、考えて見たいと思います。
① 規則的すぎると、緊張するから
人は予測できないものを怖がりますが、
予測できすぎるものには、退屈や緊張を感じます。
例えば、
・完全な等間隔の模様
・真っ直ぐすぎる線
・機械的な音
・均一に揃いすぎた動作
ずっと見続けると“冷たさ”が出ます。
ゆらぎは、この冷たさを溶かしてくれます。
② 不規則すぎると疲れるから
逆に、完全なランダムはストレスになります。
・騒音
・バラバラの模様
・予測できない動き
こうしたものは、脳が常に解析を続けるため疲れやすいんです。
③ ゆらぎは「自然界のリズム」そのものだから
自然界は、規則と不規則の間を生きています。
・波は一定のようで毎回違う
・木漏れ日はゆれて形を変える
・炎は生き物のように揺れる
この“自然の揺らぎ”と同じパターンが、
いわゆる 1/fゆらぎ と呼ばれるリズムです。
人の脳波も、心拍も、声も1/fゆらぎを含んでいるため、
自分と同じ“揺れ”を感じると安心する と言われています。
アートやデザインにおける「ゆらぎ」の価値
それでは、何かものを作るとき、ゆらぎはどういった形で力を与えてくれるのでしょうか。
① 緊張とリラックスのバランスが生まれる
たとえば、絵画で完全な直線ばかりだと固く見えますが
ほんの少しだけ線が揺れると一気に“人の温度”が宿ります。
UIでも、
・軽い角丸
・気づくか気づかないか程度のグラデーション
・ぼかされた縁
・ノイズを含んだ背景
などは、無機質さを和らげる力があります。
② 情緒や物語を感じさせる
“ゆらぎ”には意図があるように見えます。
・風が通った
・誰かの手が加わった
・光が差し込んだ
たとえ静止画でも、ゆらぎを捉えたものには動きを感じさせられます。
写真・絵画・UI・プロダクトすべてに応用できる「余韻」のつくり方です。
③ 整っているのに、息苦しくない
最近のUIデザインやWebデザインにも「透明感+ノイズ」が多く取り入れているのも、
実は“ゆらぎを加えるため”だと感じます。
シンプルな中に微細な揺らぎを入れることで、
シンプルの持つ冷たさを中和しているんです。
デザインで“ゆらぎ”を使うコツ
完璧に整えすぎない
線や影、距離をすべて「0か1」で決めないことかなと思います。
ゆらぎは「0.7」のような曖昧さから生まれます。
パターンに少しだけ変化を入れる
等間隔の中の1つだけを変えると、自然なリズムが出ます。
ノイズを敵としない
ノイズ=悪ではなく、
“質感”や“空気感”として味方にする。
動きに「間」をつくる
スピード感を感じさせたら、実際に動くものについては、等速度より、少しだけ速い・遅いを混ぜると生命感が出ます。
まとめ
ゆらぎとは、
自然界のリズムと、人間の心地よさをつなぐ“間”の要素だと思っています。
完璧でもなく、無秩序でもなく、
その中間にあるあいまいな揺れ。
そこに、美しさ、温度、安心感、生命感が宿るのだと思います。
あなたも日常であえて“ゆらぎ”を作ってみてください。
作品でも、デザインでも、きっと大きく変わるはずです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
またお会いしましょう。
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