
今回のテーマは「キズと硬度」です。
みなさんは、かばんの中から小物を取り出してみたら
「あれ?こんなところにキズあったっけ…?」
なんて経験、ありませんか?
お気に入りのものにキズがついてしまうと、
その“ちょっとの傷み”が意外と気になってしまうことがあります。
もちろん、キズはその物の本質を損なうものではありませんが、売り物だったり、大切に扱いたかったものだと、どうしても見た目の印象が変わってしまいますよね。
というわけで今回は
「そもそもキズはなぜつくのか?」
「硬度ってどういう意味?」
「どうすればキズを防げるのか?」
を、ゆるやかにまとめてみたいと思います。
今回は“人がケガする傷”ではなく、
“ものにつくキズ(瑕・疵)”のお話です。
キズと硬度の関係
キズとは、
ものの表面にできる裂け目・欠け・溝のこと。
原理はとてもシンプルで、
硬いものが柔らかいものをこすると、柔らかい方にキズがつく。
当たり前のようで、実はとても本質的な話です。
ここで出てくるのが「硬度」という考え方。
硬度とは、“表面がどれだけ傷つきにくいか”を示す目安 です。
硬さの測り方は実は一つではありません。
今日は特に身近な「モース硬度」と「ヴィッカース硬度」を紹介してみます。
モース硬度
まずは、いちばん有名な“モース硬度”。
モース硬度とは、1812年に鉱物学者のフリードリッヒ・モースが考案した硬度の指標で、
「ある物質が別の物質を傷つけられるかどうか」
で硬さを判断します。
例えば、
石Aで石Bをこすって、石Bにキズがつくなら、Aの方が硬い、ということ。
とてもシンプルだけど、鉱物の世界では今でも現役の尺度です。
モース硬度の例(1〜10)
1. タルク(チョークの原料)
2. ギプス
3. カルサイト
4. フルオライト
5. アパタイト(歯の成分!)
6. オーソクレース
7. クォーツ(石英)
8. トパーズ
9. コランダム(ルビー・サファイア)
10. ダイヤモンド
ダイヤモンドはご存知の通り、地球上で最も硬い天然物質です。
そして面白いのが、
“チョークが黒板より硬かったら、字が書けない” という話。
黒板に書けるのは、黒板の方が硬い → チョークが削れる
という仕組みなんですね。
こういうところにも“硬度”の考え方が隠れていると思うと、ちょっと面白いです。
ヴィッカース硬度
次に、「ヴィッカース硬度」。
こちらは金属や工業材料に使われる“より科学的な”尺度です。
どう測るの?
・先端がピラミッド型のダイヤモンドを
・一定の力でギュッと押し付ける
・できた“へこみ”の大きさから硬さを求める
…という方法。
押してできるへこみが小さいほど硬い、という感じです。
モース硬度が“こする”のに対し、ヴィッカース硬度は“押す”硬度。
ものを見る角度によって測り方も違うのが面白いところです。
キズを防ぐには?
ここからは、もっと実践的な話。
大切なものにつくキズをできるだけ避けるには、
いくつかシンプルなコツがあります。
① 近くに他のものを置かない
一番の基本ですが、物どうしが接触するとキズの原因になります。
かばんやポケットの中は特に“無意識に擦れる”場所。
予期しない事故もあるので、距離を空けるのはとても大事です。
② 下に敷物を敷く
窓辺の台の上に植木鉢を置いていて、スッと動かしただけで台にキズが…
なんてよく聞きます。
アルミニウムなどは意外と柔らかいので、固い石や陶器との相性が悪いんです。
布やマットを敷くだけでリスクは大きく減ります。
③ 袋・ポーチ・ケースに入れる
ポケットが一番危険地帯です。
鍵・硬貨・スマホなど、硬いものどうしが擦れあって、
知らぬ間にキズだらけに…ということも。
大切なものは、
1つにつき1つのポケット。
これが一番安全です。
④ 硬いものと一緒にしまわない
傷つけたくないものは
“より硬いもの”と一緒にしないこと。
例えば、スマホと鍵。
鍵の方が圧倒的に硬いので、スマホがキズだらけになります。
硬さを比べて収納を分けるのは、想像より効果があります。
⑤ 表面を覆う(ケース・カバー)
スマホケースや画面フィルムがまさにこれ。
ガラスやプラスチックは、金属に比べて柔らかいので、
保護フィルムだけでも耐久性がかなり変わります。
⑥ コーティングを施す
製造の段階で有効なのはコーティング。
・ニス
・アクリル樹脂
・ウレタン
・ポリマーコーティング
・ガラスコーティング
などがあります。
薄く見えるコーティングにも、
「キズを防ぐ」「素材を守る」という大きな役割があるんです。
(この辺りは別の記事で詳しくまとめたいと思います。)
身近な素材の硬さ(モース硬度の目安)
身近なものを硬い順に並べるとこんな感じです。
– 永久歯のエナメル質(6〜7)
– ナイフの刃(5.5)
– ステンレス(5)
– ガラス(5)
– 鉄(4)
– 大理石(3)
– 純アルミニウム(2.9)
– 金(2.5)
– 爪(2.5)
– プラスチック(2〜3)
– 木
– 革
こうして見ると、人間の歯ってめちゃくちゃ硬い んですね。
ありがたく歯磨きしないといけませんね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
キズは、避けられそうで避けにくいものですが、
原理を知っておくことで意外と対策ができます。
大切なものを長く使うために、
今回の内容が少しでも役に立てば嬉しいです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
またお会いしましょう。
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