
今回は「つや」について、ゆっくり考えてみたいと思います。
宝石や陶器、ガラスの表面に映るあの“しっとりした光”。
見ているだけでちょっと心が静かになったり、うっとりしたりしますよね。
では、なぜ僕たちは“つや”に惹かれるのでしょうか?
そして、デザインにおいてはどんな役割を果たしているのでしょうか。
今日はそんなことをテーマにまとめてみたいと思います。
つやとは
つやとは、物の表面で光がなめらかに反射することで生まれる光沢のことです。
一般的には以下のように分類されます。
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金属光沢(メタリック)
表面で鏡のように反射する強い光沢。金属特有の輝き。 -
非金属光沢
宝石や陶器に見られる自然な光の反射。
さらに「ガラス光沢」「樹脂光沢」「真珠光沢」などに細分化。
つやは、「表面の凹凸」「光の角度」「素材の密度」などが複雑に関係して生まれています。
つやが人を惹きつける理由
つやがある物を見ると、不思議と“良いもの”に見えることがありますよね。
それにはちゃんと理由があります。
① 水分を連想させる“生命感”
つやは、しっとりと水分を含んだ印象を与えます。
人や動物の健康的な髪・肌は自然に少し光を帯びていますし、野菜や果物も新鮮なほどみずみずしいです。
つや=生命感、安全・健康な印象
という強い結びつきがあるのだと思います。
② 表面がなめらか=丁寧に作られている印象
つやのあるものほど、表面が整っていることが多いです。
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傷がない
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平滑性が高い
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光の道筋が乱れない
こういった特徴から、
「品質が高い」「手間がかかっている」
というイメージが自然と生まれます。
③ 光の“揺らぎ”が心地よい
宝石や陶器に光が滑るように移動する様子は、視覚的にとても心地よいです。
心理学的にも、
“ゆるやかな光の変化は安心感を生む”
という研究があるほどです。
一方で、つやがマイナスに働くことも
つやは単純にあればいいというものではありません。
想像していただきたいのは安価なプラスチック製品。
特有のツルツルした反射がありますよね。
表面にある凹凸に映る光がガタガタして“安っぽく”見えてしまうんです。
この現象を避けるため
樹脂製品では、あえてつやを消した「マット仕上げ」がしばしば用いられます。
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高級車の外装
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家具
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スマホの背面
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カメラのボディ
なども、マットを使うことで“品のある質感”になることがあります。
「シボ」などと言われることもありますね。
デザインで「つや」をどう活かす?
つや・マットの使い分けはデザインではとても重要です。
① 見せたい部分にだけ“つや”を残す
つやは視線を集めるので、
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エッジ
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ロゴ
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ワンポイントの装飾
などをさりげなく光らせると、とても高級感が出ます。
② マット × グロスの対比で上質に見せる
全体をマットにして、一部分だけ光沢を出す。
これだけで“丁寧に作られた感”がぐっと高まります。
③ 触れる箇所は慎重に
つや(=滑り)がある
→ 高級感 or 工業製品的な印象
つや消し(=摩擦が少しある)
→ 温かく、落ち着いた印象
タッチポイント(手に触れる部分)は、マットのほうが人気です。
素材による“つや”の違い
一言で通夜といっても、素材ごとにつやの出方が異なります。
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ガラス …深い透明感のある光沢、水分も感じる
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陶器 …湿ったような落ち着いたつや
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金属 …冷たく強い反射
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木材 …オイル仕上げのものはしっとりしたつや
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布 …シルクは滑らか、麻は控えめ
つやは素材の特性や成り立ちがかたち作るんです。
まとめ
つやは、見た目だけでなく“印象”や“品質”を左右する大事な要素です。
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生命感を連想させる
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品質の高さを感じさせる
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光の揺らぎが心地よい
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一方で、素材によっては安っぽく見える
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マットとの対比でより美しく見える
僕たちは光沢の“見え方”を通して、
その物の価値やストーリーを感じ取っているのだと思います。
日常の中でも、ぜひ光り方に注目してみてください。
同じものでもつやひとつで見え方が変わって驚きますよ。
今日はこの辺で!
最後まで読んでくださってありがとうございました。
またお会いしましょう。
【参考】つやに関する専門用語まとめ
| 用語 | 意味 | 関連領域 |
|---|---|---|
| 金属光沢(メタリック) | 鏡面のような強い光の反射 | 金属・車・家電 |
| 非金属光沢 | ガラス・陶器など自然な反射 | 宝石・陶器 |
| ガラス光沢 | 表面の密度が高く透明感がある光沢 | ガラス・水晶 |
| 真珠光沢 | 柔らかく層状の反射を起こす光沢 | 真珠・貝殻 |
| マット仕上げ(艶消し) | 光を乱反射させ、光沢を抑える加工 | 家電・家具・プラ製品 |
| グロス仕上げ | 表面を滑らかにし光沢を強く見せる仕上げ | 家具・スマホ・車 |




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