
光を理解すると、世界の“見え方”が変わる瞬間があります。
道の光の反射、夕日の透けるガラス、水滴のハイライト。
自分自身、絵を描くときや撮影するとき、光の扱いが少し上手くなるだけで、まるで別物のように立体感が生まれたり、雰囲気がやわらかくなったりするのを何度も体験してきました。
光はデザイン・アート・写真・UIすべての土台。
形・色・素材と同じくらい、本質的で奥深い存在です。
今回は「光とは何か?」を大きな視点から整理しつつ、具体的な観察や、僕自身の視点を交えてまとめてみます。
光がわかると、ものの“性格”まで見えてきます。
一緒に探っていきましょう。
光とは、「形」と「感情」を同時につくるもの
光には大きく2つの役割があります。
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形を見せる
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感情を動かす
例えば、逆光で輪郭が光る瞬間、なんとなく“神秘的”に感じることがありますよね。
あれは「形がシンプルに整理される」効果と、「光が感情を直接揺らす」効果の両方が働いているからなんです。
僕自身、曇りの日の柔らかい光で撮った写真が妙に好きだったりします。
理由を考えると、コントラストが穏やかになって、人や物が本来持っている“静けさ”が見えやすくなるからかもしれません。
陰影がつくる立体感とリアリティ
形は線ではなく陰影で伝わります。
光の角度・影の濃さ・落ちる位置が少し変わるだけで、
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柔らかく見える
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固く見える
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重く見える
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透明に見える
といった印象の違いが生まれます。
特に面白いのは、影の“境界のぼかし具合”で素材感まで変わって見えること。
自分は影をじっと観察するほど、形の性格が読みやすくなることに驚きました。
透明感|光がどこまで通るかで印象が変わる
透明感は、「光がどこまで通って、どこで止まるか」で決まります。
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ガラスのように透ける
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すりガラスのようににじむ
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木や石のように内部で止まる
透明度が変わるだけで、軽くも重くも、未来的にも温かくも見えるのが面白いところです。
最近はグラスモーフィズムが多く取り入れられている理由も「未来感」「軽さ」「静けさ」を出すためなんですよね。
反射|質感の正体は光の跳ね返り方
光の跳ね返り方は、そのまま質感になります。
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マット=光が散る
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つやつや=光が鋭く返る
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波うつ表面=光がゆらぐ
たとえばホテルのロビーで“高級感”が出るのは、ただ素材がいいからではなく、光が返る角度が美しく整理されているからなんです。
観察してみると、空間の印象の半分以上が光の跳ね返りで決まっていると感じる瞬間があります。
逆光|輪郭が最も美しく見える光
逆光は被写体の輪郭を光で縁取り、シルエットを強くします。
写真で逆光が好まれるのは、
“顔の細かい凹凸を減らし、形の本質だけが浮かぶから”という側面もあります。
感情的には、“生命力”を感じる光でもあるんですよね。
ハイライト|存在のリアリティをつくる最明部
光で一番明るい部分=ハイライト。
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水滴が本物に見える
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ガラスが輝く
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金属が強く見える
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肌がつややかに見える
すべてハイライトの位置と強さで変わります。
自分も絵を描くとき、ハイライトを置いた瞬間に“急にそこに存在し始める”感覚があって、何度体験してもワクワクします。
光の軌跡|未来感・スピード感を生む
光のライン、光跡、残像。
これらは“未来感”の象徴です。
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車のテールランプ
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UIの動きのライン
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夜景のビルの光
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アニメの光の軌跡
静止していても“動き”を感じるのは光ならでは。
自然の光のゆらぎが安心を生む
人工的な光が一定なのに対し、自然光は常に揺れています。
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ろうそく
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焚き火
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木漏れ日
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朝や夕方の光
この「ゆらぎ」は、人間が安心するリズム(1/fゆらぎ)に近いと言われます。
たしかに、自分も部屋の照明を柔らかくしただけで気持ちが落ち着くことがあって、光の心理的影響は本当に大きいと感じます。
まとめ
光は「形」と「感情」を同時にデザインする不思議な存在です。
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陰影が立体感をつくる
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透明感は軽さや未来感に繋がる
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反射は質感の正体
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逆光は形を強く美しく見せる
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ハイライトは存在のリアリティをつくる
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ゆらぎのある光は安心感を生む
光の性質を知るだけで、日常の景色も制作物も豊かに見えるようになります。
【参考】光に関連する専門用語まとめ
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 陰影 | 光と影の境界・立体感を生む要素 |
| 反射 | 表面で光が跳ね返る現象 |
| 透過 | 光が物体を通り抜けること |
| ハイライト | 光の中で最も明るい点 |
| 1/fゆらぎ | 規則と不規則の間にある自然のリズム |
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- 陰影の境界の“ぼかし”で質感や印象が変わる理由を、具体例とともに丁寧に解説した記事です。光の扱いの核心に近づきたい人に。
- ハイライトの入り方やキャラクターラインの観察など、光が形をどんなふうに語るのかを深掘りした内容。形の理解が一段深くなります。
- “光がどこまで通って、どこで止まるか”で印象がどう変わるのかを、UIと実物の両方から整理しています。透明感が好きな人に特におすすめ。
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