
今回は「色」について。
といっても、難しい理論ではなく、色って思っているよりずっと面白い世界なんだよということを感じてもらえるように書いてみました。
「色の専門知識とか興味ないんだよね」という方も、きっと世界の見え方がちょっと変わると思います。
それではいってみましょう。
色って、そもそも何?
まず最初にひとつ、少しだけ不思議な問い。
「世界は、色がなくても存在できると思いますか?」
実は、答えは「イエス」です。
なぜなら、色は物の性質ではなく
光の波と、人間の脳の処理
によって初めて“色”として成立しているからです。
たとえば、犬には赤と緑の区別がほとんどできません。
世界は同じでも、見えている“色の世界”が違うわけですね。
つまり、「色」とは
・光の波長
・脳の感じ方
・文化・経験
・記憶
これらが合わさって初めて現れる“現象”なんです。
なんか、ちょっとロマンありませんか?
色が変わると、世界の見え方そのものが変わる
例えばここで、ちょっと想像してみてください。
🟥もしも世界が「赤」しかなかったら?
影も、空も、肌も赤。
これ、実は“火山の中”にいるような感覚になります。
心拍数が上がり、落ち着かないとされています。
🟦もしも世界が「青」だけになったら?
海の中のような静けさ。
時間の流れもゆっくり感じる、落ち着いた世界。
🟩「緑」しかなかったら?
森林浴と同じ効果。
人のストレス値がぐっと下がります。
つまり色は、
僕たちの感情・行動・思考を勝手に変えてくる存在
なんです。
だから、色に興味がなかった人も、
実は日々の生活でめちゃくちゃ色の影響を受けているんです。
色の三属性がわかると、景色の“解像度”が上がる
色は「色相・明度・彩度」という三つの要素でできています。
でも、ここからが面白いところ。
○色相(赤っぽい/青っぽい)
→ 人の感情をもっとも揺さぶりやすい
👉 詳しくはこちら「色相とは?色の三属性「色相」の意味・印象・使い方をデザイナー目線でやさしく解説」
○明度(明るい/暗い)
→ 映画の表情を決める
👉 詳しくはこちら「明度とは?色の三属性「明度」の意味・印象・デザインでの使い方をわかりやすく解説」
○彩度(あざやか/にごった)
→ 思い出の質感を変えてしまう
👉 詳しくはこちら「彩度とは?デザインで印象を変える「鮮やかさ」の本質と使い方をやさしく解説」
例えば「青い海の写真」を例にすると……
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明度を上げる → 沖縄のような透明な海に
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彩度を下げる → 北国の静かな海に
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色相を少し緑寄りにすると → 南国感アップ
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色相を紫寄りにすると → 冬の海の寂しさが出る
同じ“海”でも、こんなに印象が変わります。
色の三属性って、
“世界をどう捉えるかのフィルター”
みたいなものなんですよね。
デザイナー視点で見ると、色は「人を操作できるツール」
たとえば、こんな例があります。
■黄色のメモ帳に書くとき、アイデアが浮かびやすくなる
心理学では“黄色=刺激・思考の活性化”といわれています。
■青い部屋では人が静かになる
これは医学的にも証明されていて、呼吸数・脈拍が落ち着きます。
■赤は購買率が上がる
スーパーでセールの文字が赤なのはこのため。
こういう面白い現象って、
全部「色の性質」を知ると説明がつくんですよね。
「自分を落ち着かせたいときは青い服」
「集中したい日は緑のデスク」
「元気を出したい日はオレンジのマグカップ」
など、日常に簡単に活かせるのも魅力です。
色の裏には“文化”がある
色が面白いのは、
同じ色でも国や文化によって解釈が全然違うところ。
例えば……
●白
日本:清らか・神聖
欧米:純粋、ブライダル
中国:喪の色(黒の役割)
●赤
日本:情熱、勝利
中国:幸福の色
南アフリカ:喪の色
文化が変わると、色の意味も変わる。
この「文化の違い」が、絵やデザイン、ファッションを面白くしている気がします。
色を見るということは、世界を“感じとる”ということ
読んでいただく前は「色に興味ないなぁ」と思った方もいたかもしれませんが、
色の知識があると、景色の感じ方の解像度が明らかに上がります。
空、人の表情、広告、自然、プロダクト、食べ物、映画。
ほとんどのものは色によって印象が変わり、記憶が変わります。
色を知ると、ただの景色が「作品」に
ただの日常が「感情」に変わります。
色って、そういう力を持っています。
色が少しでも面白く感じていただけたら嬉しいです。
今日も最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
またお会いしましょう。



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